シンポジウム宣言

2011産業医科大学国際シンポジウム宣言(日本語版=非公式)

(シンポジウムでの討議に基づく改訂版)

我々、2011産業医科大学国際シンポジウムの参加者は、福岡市に参集し、『原子力災害対応労働者の産業保健』について、特に福島で進行中の原子力災害に留意し、次のように宣言する:

1. 原子力災害対応労働者の健康と安全の確保は最重要課題の一つであり、その必要性は、発災直後に始まり、残留放射線を封じ込める間続き、晩発の健康障害に対してあらゆる対策をとった時にはじめて完結するため、数十年間継続する。
2. 人類の経験の共有と国際的英知の結集の必要性に鑑み、世界保健機関や国際労働機関などの国際機関や諸外国の学術研究機関との連携に積極的に取り組む価値がある。
3. 労働者の健康上の課題は、放射線被曝のほか、メンタルヘルスの問題、優れた災害医療の必要性に及ぶ。このため、救急医療、急性・慢性期の臨床医学、公衆衛生、産業保健の専門家はすべからく固有の専門性を発揮し連携して対応すべきである。関係する専門職に対して災害対応に係る適切な教育・訓練を提供すべきである。
4. 放射線被曝の問題は、原発労働者はもちろん、消防・警察・自衛隊等の緊急対応労働者、その他の公務員(国・地方)、原発施設に間接的につながりのある者、医療従事者、除染作業や廃棄物・瓦礫の処理に当たる者等々、広範囲の労働者に及ぶ。それゆえ支援の方策-例えば個人用保護具の開発や使用法の研修等-は、職種や所属の如何に関わらず、あまねく公正に提供しなくてはならない。
5. 労働者・市民・企業・行政・専門家およびその学会・大学および研究機関・病院・NGO等社会各層は、その各々が期待された役割を果たす中で、最大限透明性を保ち協力するが、特定の利害に左右されず、癒着してはならない。
6. 原子力災害に関連して急性の健康影響のみならず晩発の健康影響も起き得ることを考慮し、関連するすべての労働者に対して生涯にわたって医学的および心理学的な支援策とそれを担保するための組織的体制を構築すべきである。放射線曝露による晩発の健康影響を見出すには追跡的な疫学研究が必要であり、可能な限り早い段階で信頼できる名簿を作成すべきである。
7. 労働者は地域住民であることを忘れず、快適な生活環境の確保に留意し、労働者とその家族を含めた心理社会的支援の提供に配慮する。
8. 放射線被曝の規定限度を超えてしまった労働者に対する医学的、心理社会的支援を講じる。