趣意書

2011UOEHUOEH 国際シンポジウム

「原子力災害対応労働者の産業保健」

The Health of Workers Responding to a Nuclear Crisis

趣意書(案)

 平成23(2011)年3月11日、東北地方太平洋沖で発生したマグニチュード9.0の地震と津波をきっかけに東京電力福島第一原子力発電所の事故は起きた。原子力事故の深刻度を示す評価尺度は最高レベルの「7」(深刻なリスク)とされ、重大原子力災害「FUKUSHIMA」は人類史に刻まれることになった。
 事故直後の場面では放水作業に当たった人たちによって最悪の危機を回避できたことが国の内外で脚光を浴びる一方、高レベル放射能を帯びた滞留水から被曝した作業員が入院したことなどが報じられた。本原子力災害においては避難住民の問題に加え、事態収束を図るため、原発に関わる多くの社員・労働者らが、公務員や自治体職員らとともに必死の対応を続けている。非常事態にあって広範囲の労働者が、放射線被曝リスクをはじめとする想定外の危険と向き合いながら日夜業務を遂行している。封じ込め対策の長期化も予想される中、原子力災害に対応する労働者の産業保健はきわめて大きな課題を背負わされている。
 産業医科大学は、原発事故対応に係る経済産業省の要請を受け、福島第一および第二原発への医師派遣を五月に開始した。また、産業保健の担い手である産業医科大学は、原子力災害に対応して働く人々の健康と安全の確保に広く貢献する使命を自覚している。FUKUSHIMAをめぐる健康と安全については国際的にも大きな関心が寄せられていることから、実務的対応にとどまらず科学的立場からも取り組みを開始する必要がある。
 そこで産業医科大学は、平成23年度大学院教育イノベーション事業の一環として、「原子力災害対応労働者の産業保健」をテーマとする国際シンポジウムを開催する。山積する課題の中で特に労働者の放射線被曝、メンタルヘルス、災害医療の各テーマに焦点を当てる。これまで蓄積されている知見に学びながら、今後の課題を整理し教育研究基盤を構築するため、専門家による講演・討論会・総合討議を行う。WHO・ILO等国際機関とも協力し、最終的成果を産業医科大学宣言にまとめ、公表する予定である。

2011.06.07 13:50