産業医に求められる新型インフルエンザ対策 -新型インフルエンザ流行期別チェックリストと対策支援ツール集-
| 企業向け新型インフルエンザ対策研究
 
第1章 海外発生期 シナリオ
 
 20XX年9月に、英国でトリ由来新型インフルエンザウイルスがヒトに伝播して、欧州全域にその感染が拡大していることがわかった。同28日より、我が国では、新型インフルエンザの海外発生が正式に宣言され、行動計画に従って英国を中心に欧州全域から成田、関西、中部、福岡の4空港に到着した旅客航空便に対し、機内検疫を開始した。また、発熱外来、発熱相談センターの準備が進められた。

 神奈川県A市で内科クリニックを開業している神田先生は月に1度だけ地元のプレス加工業「柳井製作所本社工場」(従業員数約250人)の嘱託産業医をしている。柳井製作所は主にA市にある大手自動車工場に金型加工した自動車部品を納入しているものの、資本の独立した中小企業である。

 今日はちょうどその産業医出務の日であった。1回の出務は3時間程度で、主に健康診断事後措置や職場巡視、安全衛生委員会への出席などを行い、最後に担当者の森山課長とお茶を飲みながら次回の打ち合わせをするのがいつもの流れであった。

 しかし、今日の打ち合わせはいつもと異なり、「新型インフルエンザ対策」が話題となった。これまでもSARS、インフルエンザ2009などの新興感染症の流行はあったが、柳井製作所ではこれまで大きく対応に困る事例がなかったことから十分に感染症対策をしてきておらず、事業継続計画(BCP)なども策定していなかった。しかし、この度新型インフルエンザが欧州で猛威を振るっている状況を鑑みて、先日従業員の欧州渡航禁止を急遽決定した。

 担当の森山課長は今後の新型インフルエンザ対策を進める上で、海外の発生状況や病原性、感染予防対策を情報収集したいと考えていたが、テレビやインターネットなどでは情報があふれており、どの情報が正しくて、どれが必要なのか、医学的知識がないこともあって作業は困難を極めていた。そのため、森山課長の強い依頼のもと、これまで神田先生は新興感染症対策を企業で進めてきた経験はなかったが、日本にも迫りつつある新型インフルエンザに対して、産業医として対策支援していくことになった。

森山課長が知りたいこと
・今回の新型インフルエンザは、従来の季節性インフルエンザとどう違うのか
・海外における発生状況や病原性に関する情報収集、国の対策方針
・流行地にいる駐在員や出張者に対して行うべき医学的配慮
・従業員の健康管理の仕方、来客への対応              など

この流行段階において、神田先生は嘱託産業医としてどのような対策支援が出来るでしょうか?
→具体的な解答例(チェックリスト)


文責:環境疫学研究室/